Jira Service Management の管理者向けの利用開始ガイド
最初に、Jira Service Management の使用を開始する方法を確認します。
Jira Service Management のアセットは、Premium と Enterprise のみの機能です。アセットの詳細についてご確認ください。
このガイドの使用方法
このステップ ガイドでは、アセットでオブジェクト スキーマをセットアップする手順をご説明します。
各ステップには、Jira Service Management でアセットを使用するための詳しい手順だけでなく、チームの IT 資産管理 (ITAM) プロセスの一環として使用する場合にこの強力な機能を最大限に活用するためのヒントやベスト プラクティスも記載されています。
このガイドには次の 2 種類の情報があります。
背景が青いヘッダーはアセットの利用開始に役立ちます。データの例や各機能の使用方法など、ガイドの各ステップに関する情報です。
背景が白いテキストは、アセットの操作手順、またはアセットのコンセプトに関する詳細な情報です。
他にも次のような情報があります。
太字の情報は、メニュー オプションの名前、オン/オフを切り替えることができる機能、ボタンなど、アセット自体にあるテキストを示しています。
code の情報は、IT 資産管理 (ITAM) 用サンプル オブジェクト スキーマに含まれるテキストです。
太字で斜体になっている情報は、アセットの重要な部分を形成する概念またはアイデアです。
Jira Service Management のアセットは、IT 資産管理の実践に役立つオブジェクトや構成アイテムを作成および整理できるフル機能の CMDB です。
たとえば、アセットを使用することで、職場でノートパソコンを最初に注文し、従業員に割り当てられ、アップグレードや修理を経て、最終的に廃棄されるまでの状況を追跡できます。
それでは、アセットを見てみましょう。
Jira Service Management 画面から、上部のナビゲーションバーで [アセット] を選択します。
"オブジェクト スキーマ" ランディング ページが表示されました。ここでは、インスタンス内のすべてのオブジェクト スキーマの確認や、特定のオブジェクトやオブジェクト タイプの検索を実行できます。
何も表示されない場合は、オブジェクト スキーマをまだ作成していない可能性があります。この場合は、次のステップで修正します。
まずはオブジェクト スキーマについてご説明します。
オブジェクト スキーマは、アセット内の情報のコレクションであり、資産、構成アイテム、リソースを追跡して、それらの間の重要な関係を把握して視覚化するために使用されます。
各オブジェクト スキーマは、オブジェクト タイプ、オブジェクト、属性、アイコン、参照、ステータスで固有の情報を保持します。
各オブジェクト スキーマは個別のものであり、2 つの異なるオブジェクト スキーマ間で限定的な情報を共有できます。各オブジェクト スキーマには独自のアクセス権限セットがあり、ユーザーやグループごとに異なる情報を非表示/表示できます。
アセットの重要な概念の 1 つは情報アーキテクチャです。これは、データを整理する最良の方法の理解を意味します。アセットにおける情報アーキテクチャとは、データを保持するためのオブジェクト タイプと属性をどのように構築したかを指します。
ところで、「優れた」オブジェクト スキーマとはどのようなものでしょうか? 優れたオブジェクト スキーマとは、次のようなものを指します。
データのサイズが適切である。オブジェクト スキーマは重要な情報をすべて追跡して、重要でない情報は追跡しません。
データが一意である。オブジェクト スキーマはオブジェクトを 2 回追跡しません。重複はエラーや非効率性につながります。
データが拡張可能である。オブジェクト スキーマは、チームのニーズに合わせて簡単に拡張、追加、変更できるように作成されています。
こうした説明は、抽象的で複雑に聞こえるかもしれません。ITAM オブジェクト スキーマの例を使ってもっと具体的にご説明しましょう。
IT 資産管理の一環として、プリンター、ノートパソコン、モニターなど、一般的なオフィスで使用されるあらゆる種類の IT 資産を追跡するのが、この機能の目的です。このような情報をすべて 1 か所に保存して、アクセスできるようにします。アセットでは、この用途に使用するコンテナーをオブジェクト スキーマと呼びます。
オブジェクトの種類に応じて、さまざまな詳細情報を追跡する必要があります。ノートパソコンの場合はメモリの容量を知る必要がありますが、携帯電話の場合は IMEI を把握する必要があるでしょう。
したがって、ノートパソコン、携帯電話、またはプリンターを表すさまざまなオブジェクト タイプを作成すると便利です。
各オブジェクトには、プロセッサ、RAM、画面の幅、シリアル番号に関する情報など、重要な詳細があります。個々のオブジェクトに関して、こうした詳細を追跡する必要があります。これらを属性と呼びます。
ここでは、IT 資産の一例としてノートパソコンを取り上げます。1 台のノートパソコンには、それを追跡する場合に知っておく必要がある多数の仕様があります。モデル番号、CPU、搭載 RAM 容量、RAM の速度、ハード ドライブのサイズ、画面のサイズとモデル、ポート数などです。ここでは、あなたの会社が 500 台のノートパソコンを持っているとします。
入力と追跡が必要な情報はたくさんあります。
幸い、アセットでは、さまざまなソースから情報を取り込むことで処理をスピードアップできます。たとえば、ベンダーのデータベースからさまざまなハードウェア モデルに関する情報を取り込んで、それを現在のインベントリのリストと組み合わせることができます。
ここでは、その方法をご説明します。オブジェクト スキーマを Models と Hardware assets という 2 つの親オブジェクト タイプに分割して、そこから他のすべてのオブジェクト タイプが派生するようにします。
Models には、カタログのように、さまざまな種類の資産の技術仕様に関する情報が格納されます。現場にあるものをすべて網羅したリストではなく、使用する可能性があるすべての資産の候補のリストになります。この情報は、メーカーやサプライヤーのカタログから直接引き出すことができ、大幅に変わることはありません。
一方、Hardware assets はインベントリです。現場にある資産のみが一覧表示され、その資産に関する固有の情報 (シリアル番号、インベントリ番号、資産の所有者、購入日など) が含まれています。従業員が新しい資産をチェックアウトしたり、新しいものを購入したり、何かを壊したりするたびにこの情報が変更されます。
個々の Hardware asset は属性を持ち、属性はそれぞれ固有のシリアル番号、在庫番号、所有者、そして Model を指す参照を含みます。この資産の Model は、メモリ、メーカー、技術仕様などの情報を保持します。
最小限の作業で最大限の情報、それこそが効果的な情報アーキテクチャです。
IT 資産管理 (ITAM) の実践に必要なすべての情報を保持する新しいオブジェクト スキーマを作成しましょう。すべてのオブジェクト スキーマには、名前、キー、(オプションで) 説明があります。
ここでは、名前を IT assets management、キーを ITAM とします。
オブジェクト スキーマを作成するには、Jira 管理者としてログインする必要があります。
上部のナビゲーション バーで [Assets] を選択します。
[オブジェクト スキーマ] を選択します。
右上隅にある [Create object schema (オブジェクト スキーマの作成)] を選択します。
オブジェクト スキーマに関する次の情報を入力します。
名前 - オブジェクト スキーマの名前。
キー – オブジェクト スキーマを識別するための一意のキー。
説明 - オブジェクト スキーマの説明。
作成を選択します。
オブジェクト スキーマ ビューが表示されました。このビューでは、左側にすべてのオブジェクト タイプが、右側にオブジェクトとその属性に関する詳細が表示されます。
新しいオブジェクト スキーマは、ITAM で使用するすべてのオブジェクトに関する情報を保持します。こうした情報を整理するために、各オブジェクトの詳細を定義するオブジェクト タイプをいくつか作成します。
オブジェクト タイプは、オブジェクト スキーマ内で類似するオブジェクトのグループを表します。
これらのオブジェクトは、特定のタイプのアセットまたはサービスに関する情報の保持に役立つ属性やその他の特性を共有します。
各オブジェクト タイプは、単一の親オブジェクト タイプと複数の子オブジェクト タイプを含めます。継承を設定して、子オブジェクト タイプが親の属性を自動で受け取って子オブジェクト タイプの属性をそれ自体の子に渡せるようにできます。
同様に、いくつかのオブジェクト タイプを抽象として設定できます。つまり、独自のオブジェクトは含められませんが、その属性を子に渡せます。子自体はオブジェクトを含められます。継承と抽象のオブジェクト タイプを使用すると、シンプルで強力なオブジェクト スキーマを作成できます。
ではまず、最初のオブジェクト タイプを 2 つ作成してみましょう。
1 つ目のオブジェクト タイプは Hardware assets という名前です。このオブジェクト タイプを使用して、インベントリに置くことになるすべての資産を格納し、作業中にそれらをさまざまなオブジェクト タイプに細分化します。
作成する 2 つ目のオブジェクト タイプは Model という名前です。このオブジェクト タイプには、モデル、および将来の資産のカタログの仕様に関する情報が含まれています。
Hardware assets と Model で以下の手順を 1 回ずつ行います。
オブジェクト タイプを作成するには、Jira 管理者としてログインするかオブジェクト スキーマ マネージャー権限を持っている必要があります。
上部のナビゲーション バーで [Assets] を選択します。
オブジェクト スキーマを選択します。
[スキーマ ツリー] で、上部にあるアイコンを選択します。
ポップアップ ウィンドウで、次の手順に従います。
オブジェクト タイプ名を入力します。
オブジェクト タイプのアイコンを選択します。
親オブジェクト タイプを選択します。[なし (None)] を選択すると、オブジェクト スキーマのルート レベルにオブジェクト タイプが作成されます。
オブジェクト タイプの説明を入力します。
[作成] を選択します。直後に別のオブジェクト タイプを作成するには、[もう 1 つ作成 (Create another)] チェックボックスをオンにして [作成] を選択します。
これで、[アセット] 画面の左側に新しいオブジェクト タイプが表示されます。
オブジェクト タイプには、親と子の両方があります。
親オブジェクト タイプはオブジェクト タイプ間で属性を共有するために使用でき、子オブジェクト タイプは他のオブジェクト タイプとは共有されない固有の属性を含めるために使用できます。
Hardware assets と Model を、子に情報を渡すことができる親オブジェクト タイプにしましょう。
オブジェクト タイプのすべての子に親オブジェクト タイプの属性を強制的に継承させるには、Jira 管理者としてログインするかオブジェクト スキーマ マネージャー権限が必要です。
上部のナビゲーション バーで [Assets] を選択します。
リストからオブジェクト スキーマを選択します。
オブジェクト タイプを選択します。
オブジェクト タイプの右側を選択するか、画面の右上から選択します。
[オブジェクト タイプを設定] を選択します。
[継承] タブで、[すべての属性を子オブジェクト タイプに渡す] を選択します。
継承機能は、子オブジェクト タイプを作成する前に有効化する必要があります。すでに子を持つオブジェクト タイプでは有効化できないため、ご注意ください。
Hardware assets と Model が、その子に属性を渡すように設定しました。次に、これらを抽象に設定します。
抽象オブジェクト タイプに、独自のオブジェクトを含めることはできません。つまり、情報を直接保存することはできませんが、異なるオブジェクト タイプ間で共通の属性を共有するのに適しているということです。これはとても便利です。
オブジェクト タイプ内でオブジェクト作成の機能を無効化するには、Jira 管理者としてログインするかオブジェクト スキーマ マネージャーの権限を持っている必要があります。
上部のナビゲーション バーで [Assets] を選択します。
リストからオブジェクト スキーマを選択します。
オブジェクト タイプを選択します。
オブジェクト タイプの右側を選択するか、画面の右上から選択します。
[オブジェクト タイプを設定] を選択します。
[継承] タブで、[Set the object type as abstract (オブジェクト タイプを抽象として設定する)] を選択します。
親オブジェクト タイプ Hardware assets と Model はこれで完成です。次に、親から情報を継承する子オブジェクト タイプをいくつか作成しましょう。
Hardware assets の下に表示される 4 つの新しいオブジェクト タイプを作成します。
Phones
Laptops
Servers
Printers
各オブジェクト タイプで Hardware assets を [親] として選択することを忘れないでください。作成するとすぐに、左側のナビゲーション バーの Hardware assets の下に表示されます。
次に、Model の子オブジェクト タイプをいくつか作成しましょう。
Hardware models
Model categories
Software models
それぞれで Model を [親] として選択することを忘れないでください。
オブジェクト タイプを作成するには、Jira 管理者としてログインするかオブジェクト スキーマ マネージャー権限を持っている必要があります。
上部のナビゲーション バーで [Assets] を選択します。
オブジェクト スキーマを選択します。
[スキーマ ツリー] で、上部にあるアイコンを選択します。
ポップアップ ウィンドウで、次の手順に従います。
オブジェクト タイプ名を入力します。
オブジェクト タイプのアイコンを選択します。
親オブジェクト タイプを選択します。[なし (None)] を選択すると、オブジェクト スキーマのルート レベルにオブジェクト タイプが作成されます。
オブジェクト タイプの説明を入力します。
[作成] を選択します。直後に別のオブジェクト タイプを作成するには、[もう 1 つ作成 (Create another)] チェックボックスをオンにして [作成] を選択します。
親オブジェクト タイプと子オブジェクト タイプを作成しました。これで、親と、親の親の両方から属性を継承できる孫オブジェクト タイプも作成できます。孫オブジェクト タイプは子オブジェクト タイプと同じ方法で作成します。
Servers オブジェクト タイプの 2 つの子オブジェクトを作成し、その継承を [すべての属性を子オブジェクト タイプに渡す] に設定しましょう。
Red Hat Linux
Windows Server
この 2 件のオブジェクト タイプでは、必ず Servers を [親] として選択します。
これで、2 件のオブジェクト タイプは Servers オブジェクト タイプの情報を継承し、このオブジェクト タイプ自体は Hardware assets オブジェクト タイプの属性を継承するようになりました。
オブジェクト タイプを作成するには、Jira 管理者としてログインするかオブジェクト スキーマ マネージャー権限を持っている必要があります。
上部のナビゲーション バーで [Assets] を選択します。
オブジェクト スキーマを選択します。
[スキーマ ツリー] で、上部にあるアイコンを選択します。
ポップアップ ウィンドウで、次の手順に従います。
オブジェクト タイプ名を入力します。
オブジェクト タイプのアイコンを選択します。
親オブジェクト タイプを選択します。[なし (None)] を選択すると、オブジェクト スキーマのルート レベルにオブジェクト タイプが作成されます。
オブジェクト タイプの説明を入力します。
[作成] を選択します。直後に別のオブジェクト タイプを作成するには、[もう 1 つ作成 (Create another)] チェックボックスをオンにして [作成] を選択します。
お疲れ様でした!
オブジェクト スキーマの基礎として、Hardware assets と Model という 2 つの親オブジェクト タイプを作成しました。
Hardware assets にはインベントリにあるさまざまなタイプのハードウェアに関する情報が保持され、Model にはインベントリに存在する可能性があるすべての資産に関する情報が保持されます。また、これらの親ごとにいくつかの子オブジェクト タイプを作成し、さらに特定種類の資産に関する情報を保持するためにいくつかの孫オブジェクト タイプも作成しました。
次は、ガイドの次のセクション「IT 資産管理 (ITAM) の属性を作成する」に進みましょう。
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